プロローグ

第1回:ミリタリー・ブログとは?
第2回:良くも悪くも、ここにあるのは「本音」だ


「六月三日火曜日、僕がオフィスで仕事をしているとデスクの電話が鳴った。
ジョンからだった。僕とマット・シュラムの共通の友人である。僕たち三人は何年も前に軍で知り合い、それ以来ずっと連絡をとり合っていた。ジョンは僕に、ちゃんと座って聞いてくれと言った。それから、マットがイラクで死んだと言った。その瞬間の衝撃から我に返ると、僕は最後まで話を聞き、ジョンの奥さんのパティと一緒にマットの葬儀に出ると約束した。ジョンは特殊作戦本部を空けられないため葬儀には出席できなかった。

電話を切ると僕はオフィスのドアを閉め、もう一度椅子に腰をおろし、そして泣いた。
葬儀のとき、マットから届いた最後の手紙やEメールを遺族が見せてくれた。思ったとおり、どれも力強く前向きなメッセージだった。自分のしていることは正しいとマットは信じていた――イラクをサダム・フセインの手から解放するのだと。

シュラム少佐の部隊には取材記者を乗せた車が続いていた。銃撃戦が始まるなり記者の車はUターンし、死に物狂いで逃げ出した。マットが敵にぶつかっていかなかったら、記者も運転手も生きて帰れはしなかっただろう。だがその記者は、僕の素晴らしい友人マットのことを、彼の命の恩人のことを、いっさい記事にはしなかった。それは「ニュース」ではないからだ。

僕はこの出来事をこのままにしておいていいのかと数週間考えた。こういうことが起きたと僕は知っている。世間に知らせるべきではないのか、と思った。そして六月十八日、僕は「Blackfive」というブログを始めた。」
                                            (抜粋)


バーデン氏がBlackfiveを開設したのは2003年6月18日。兵士のインターネット・アクセスは士気高揚につながる、と考えられていた時代です。その後は次第に機密の漏えいが問題視されるようになり、ついに2005年半ば、軍上層部は作戦保全(OPSEC)規定を修正、安全保障上の理由からブログを検閲し、制限を加えることを決定しました。主に2003年から2005年に投稿されたブログが収録されている本書は、兵士たちの「本音」を知る貴重な資料と言えます。


マシュー・カリアー・バーデン(Matthew Currier Burden)
17歳で入隊し、2001年7月にアメリカ陸軍予備役少佐の階級で退役。国防情報局情報分遣隊副司令官として加わった最後の任務で、彼の部隊は軍事情報の収集・分析手法を改革した功績を認められ、統合勲功部隊感状を授与されている。シカゴ大学で理学修士(コンピュータ科学)取得、学部賞受賞。イラクで友人を失ったバーデンは、「テロとの戦い」に向かった兵士たちを支援しつつ彼らの物語を伝えようと、2003年半ばBlackfiveを開設。Blackfiveはたちまち人気ブログとなり、多くの人に読まれ、リンクに加えられるようになった。全米ブログ・アウォードではベスト・ミリタリー・ブログ賞を3年連続で受賞している。


ブログ・オブ・ウォー 僕たちのイラク・アフガニスタン戦争ブログ・オブ・ウォー 僕たちのイラク・アフガニスタン戦争
マシュー・カリアー・バーデン


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